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午前五時、夜明けの風
いつものコンビニの店員が 異変に気付くぐらいの憂鬱 何にも変わらないふりしたとこで 変わってしまった今日の中にいる
大抵の人とはいずれ別れる 半端に生きてきても気が付くだろう でも歳を重ねれば重ねるほど 慣れずに重くのしかかるのはなぜ
淋しくなんかないよ寂しくなんかないよ 説得力のない強がりは 遠くに旅立ったあいつに届くわけがあるわけなんかない ただの独り言
午前五時、夜明けの風はただ優しく 立ち尽くしたままの俺の背中を押す
飽きもせずにまた朝を連れてきては 逆らえやしない 時の流れってものに 忙しなく追いかけ回される
運命は誰にでも平等に孤独が後ろ指差して付いてくる いつかは頼れる人もいなくなり 寄り掛かる手すりさえない綱渡り
怯えてなんかないし震えてなんかいない ずっと前から分かってたことだし
いつの頃からだろう ぬるま湯の中歩いてる 近所の野良猫が睨みながらすれ違う

午前五時、夜明けの風は無責任に 猫背の俺を撫でるように包み込む
誰かのものになるようなものじゃないのに まるで自分にだけ味方してくれてるような 錯覚が悪戯に笑う

午前五時、夜明けの風はただ優しく 立ち尽くしたままの俺の背中を押す
未来に希望があると限らなくても 信じさせてくれる 何の根拠もないのに 凝りもせず朝日が照らす
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